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保育士の給料は上がる!今の現状と将来性について丁寧に解説します

保育士の給料は、安いというイメージがありますが、実際の給与の実態はどうなっているのでしょうか。

本記事では、給与が安い理由や地域別、勤続年数別、役職別、男女別、施設形態別といった様々な切り口で、保育士の給与を解説していきます。

また、その給与を上げるための方法もアドバイスしますので、是非ご活用下さい!

 

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1. 保育士の給料は上がる!?国が進める処遇改善の取り組み

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A子

私、1年目なんですが来年・再来年は給料あがるのか心配~

処遇改善というものがあるから、徐々にあがっていくよ!

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B子

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C子

勤める保育園によっては、勤続年数や資格取得で給料があがる保育園もあるわよ。今の保育園はそういったものがあるか確認してみるといいわよ。この記事では、保育士の給料を上げる方法などを紹介してるわよ。ぜひ!参考にしてみてね。

 

保育士は、女性が社会進出する上で必要不可欠な機能を果たしています。事実として共働き需要が高い都市圏ほど、待機児童の人数が高い傾向があります。

慢性的な不足状態は結婚・出産後の女性の就労の大きな障害になっており、待機児童問題の解消と保育園の無償化は、国・自治体の重要なテーマになっています。

そこで国が保育士の稼働人数を増やすために取り組んでいる重要な施策の一つが、「保育士処遇改善等加算」です。

これは「給与が安い」という側面が離職の6割を占めており、保育士不足の問題の主な原因が平均月収22万円という安い給与にあり、そういった状況を改善するためのものです。具体的には国から保育園に支給する補助金を増額し、保育園の財源の確保と保育士の給与アップを目標としています。

保育士処遇改善等加算による補助金の額は年々増額傾向にあり、2017年度時点では、月額約3.2万円が支給されています。

また2017年度から「保育士等キャリアアップ制度」がスタートしました。厚生労働省の「保育士等キャリアアップ研修の実施について」の資料によると、この制度の背景には「近年、子どもや子育てを取り巻く環境が変化し、保育所に求められる役割も多様化・複雑化する中でより高度な専門性が求められるようになっており、日々のの業務に加え、各種の研修機会の充実によって、その専門性を向上させていくことが重要になってます」といったことがあります。

ここで注目すべきは、「職務内容に応じた専門性の向上を図るための研修機会の充実が重要な課題」と明言されている点です。そういった目的を推進するために、新設された役職に着任すると、月額最大4万円の給与アップが実現します。

今後も国は、求められるスキルの向上と給与アップに代表される待遇改善に向けて、様々な取り組みを行うことが予想されます。

 

2. 保育士の給料が安い理由

保育士の給与は、なぜ安いのでしょうか。以下に、給与が安い理由を解説します。

2-1. 給与の財源を確保が難しい

公立の保育園は、各自治体で保育士に支払う給料表が決められています。そのため、ある程度安定したお給料が保証されています。またその財源は、保護者からの保育料だけでなく、国や都道府県、各自治体からの補助金に支えられています。

一方保育園全体の7割近くを占める私立の保育園は、一般的に補助金はありません。そのため、需要があまりないエリアの保育園や集客がうまくいっていない保育園は経営が厳しくなります。

2-2. 必要な人数を保育園に常に配置する必要がある

保育士の配置基準とは、保育士1人あたり何歳の子どもを何人まで保育できるかという基準です。保育園を運営する原則として、以下の2点が定められています。

1.保育士を常時2名配置すること
2.国が定める保育士1人に対して子どもの人数の基準を下回らないこと
・0歳/子ども3人
・1~2歳/子ども6人
・3歳/子ども20人
・4歳以上/子ども30人

低年齢ほど人数が必要なので、子どもは年齢が低いほど手間がかかり、安全を確保する必要があるからです。

認可保育園は、スタッフ全員が保育士です。また下記が、特例措置として定められています。

・乳児4人以上を入所させる保育所に係る保育士の数の算定については、当該保育所に勤務する保健師又は看護師を1人に限って、保育士とみなすことができる
・特例として朝夕などの子どもが少ない時間については、保育士2名のうち1名は子育て支援員研修を終了した人であれば、保育士の代わりとしてカウントすることができる
・保育士と近接する職種である幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭を、保育士に代えて活用可能とする
・保育所等を8時間を超えて開所していることなどにより、認可の際に最低基準上必要となる保育士数(例えば15名)を上回って必要となる保育士数(例えば15名に追加する3名)について、子育て支援員研修を修了した者等に代替可能とする

一方、認可外保育園は「1/3以上が保育士、または看護師資格の有資格者」となっています。認可外保育園の子どもに対する保育士の人数は国の基準と同じです。

2-3. 公定価格方式で毎年の予算額が変わらない

給与が安い大きな理由の一つに、公定価格の存在があります。公定価格とは、子ども・子育て支援法27条3項1号などで定められた「認定区分」「保育必要量」「施設の所在地」をベースに「施設を運営するための必要な費用」が算出され、市町村の認可を受けた施設・事業に財政支援されるものです。

公定価格は子どもの人数によって左右され、仕事の中身が反映されにくい側面があります。この点も、給与が安い原因の一つになっています。

2-4. 仕事量と給与のバランスが悪い

「給与が安い」と感じてしまう大きな要因は、「給与の割には、仕事量が多すぎる」というものです。

仕事の内容は、「子どもの成育支援」だけでなく「保育計画」「指導案」「イベント企画」「保育料管理」、そして「保護者とのコミュニケーション」や「連絡帳の記入」など多岐に渡ります。そのため、どうしても残業や持ち帰りが発生したりするケースも多いのです。


3. 保育士の給料:都道府県比較編

給与水準は、都道府県ごとに異なります。その大きな理由は、都道府県ごとに経済状況や人口、雇用状況に差があるからです。

では現在の全国都道府県における保育士の平均給与ランキングは、どうなっているのでしょうか。厚生労働省が発表している統計データをもとにした2019年度のTOP5と2017年度のTOP20を以下にご紹介します。

保育士給与

2019年度全国都道府県の保育士平均年収ランキングTOP5。2017年度と比較して、全体的にアップしているのがわかる


 

保育士給与

2017年度全国都道府県の保育士平均年収ランキングTOP20(※平成29年度厚生労働省賃金構造基本統計調査より)


 

下の2017年度と上の2019年度を比較すると、2年間で10万円前後年収がアップしているのがわかります。

直近の2019年度を見てみると、1位の滋賀はともかく、2位東京都、3位神奈川県、4位千葉県と都市圏の保育士の年収が高いのがわかります。

これは待機児童問題が都市部ほど深刻で、その解決が至急の課題になっており、国や県が保育士の給与の改善に対して取り組んでいる結果だといえるでしょう。1位の滋賀県に関しては、2018年度の平均賞与額が約77.1万円だったのに対し、2019年度は121.6万円と大幅に増加したことが順位を押し上げる要因になったようです。

こういったデータを見ると、日本全国の都道府県が待機児童問題にどれほどの危機意識を持ち、保育士の給与改善にどれほど本気で取り組んでいるかがよくわかります。


4. 保育士の給料:勤続年数・経験編

給与は自分が働いている都道府県だけではなく、勤続年数でも差が生じます。一般的には、同じ保育園で勤続年数が長くなればなるほど、基本給が上がります。

2019年の厚生労働省の発表によると、新卒の保育士(20~24歳)の基本給は全国平均で約21万円、賞与は基本給の約2ヶ月分の45.1万円、年収は約301.2万円です。

新卒の20~24歳から30~34歳になると、基本給は約21万円から3万円アップの約24万円、賞与は45.1万円から約25万円アップの約70万円、年収は約302.2万円から約57万円アップの約358万円になっています。

・大学・短大・専門学校卒(20~24歳)の基本給/約21万円
・大学・短大・専門学校卒(20~24歳)の賞与/45.1万円
・大学・短大・専門学校卒(20~24歳)の年収/約302.2万円
           ▼
・大学・短大・専門学校卒(30~34歳)の基本給/約24万円
・大学・短大・専門学校卒(30~34歳)の賞与/約70万円
・大学・短大・専門学校卒(30~34歳)の年収/約358万円

では、具体的に年齢別の年収を見ていきましょう。

<年齢別の女性保育士の年収>
20~24歳/21.34万円/45.11万円/301.19万円
25~29歳/23.58万円/69.06万円/352.02万円
30~34歳/24.05万円/69.96万円/358.56万円
35~39歳/25.4万円/77.72万円/382.52万円
40~44歳/25.35万円/77.66万円/381.86万円
45~49歳/26.07万円/82.45万円/395.29万円
50~54歳/26.51万円/86.88万円/405万円
55~59歳/27.54万円/88.98万円/419.46万円
60~64歳/24.55万円/66.01万円/360.61万円
65~69歳/27.85万円/73.94万円/408.14万円
※2019年の厚生労働省調査より

60歳以降の月給が減少し始めるのは、以下の理由と考えられます。
・現役の引退
・役職引退後の再雇用

ここで大事なポイントは、勤続手当がある保育園では勤続年数が長くなるほど基本給及び賞与の伸び率が高いということです。これは保育園側からすると、離職を防ぎかつ長く勤務してもらうことで園でのサービスの向上を図るマネジメント効果があると思われます。

勤続手当があり、できれば昇給が早く、結婚・出産を経ても働き続けられる保育園が、高い給与につながる可能性が高いといえるでしょう。

保育士給与

実際の給与例

 

保育士派遣

 

5. 保育士の給料:役職編

給与額に直接関係する要素として、役職があります。仕事の内容が、より専門性が高くマネジメント要素が増えてくると、当然役職が上がり、給与も上がります。

内閣府の資料によると、役職別の平均給与は、私立は301,823円、公立が303,113円とほぼ差はありません。しかし主任にあがると、私立は422,966円に対し、公立は561,725円と約14万円もの差が生じています。そして施設長では、私立が565,895円に対し、公立は632,982円となっています。

以上のデータから、保育士の役職別給与の全体的な傾向として、役職がない段階では私立も公立もほぼ同じですが、役職がつくと公立の保育園の方が高くなる傾向があるといえます。

もちろんこれらのデータはあくまで平均値であって、個別の保育園ではまた異なるケースもたくさんありますが、役職以上の給与に関して公立の保育園が高収入ということは把握しておいて損はないでしょう。

保育士給与

役職別の給与では、役職が上がるほど公立の保育園の方が高くなる傾向がある(※データは内閣府の資料より)

 

6. 保育士の給料:男女別編

では男女別の給与の実態は、どうなっているのでしょうか。人数的には女性の保育士の方が圧倒的に多いものの、重労働が多い男性保育士の方が高い給与水準になっています。

男性保育士(平均年齢31.4歳・勤続年数6.3年)の平均年収は350.8万円に対し、女性保育士(平均年齢35.1歳、勤続年数7.7年)は314.2万円となっています。(※厚生労働省平成26年賃金構造基本統計調査結果の概要より)

女性保育士は、長い勤続年数であっても、男性保育士よりも低給与になっています。

保育士給与

男女別の給与水準は、男性の方が高い

 

7. 保育士の給料:施設形態編

ここでは、施設形態ごとに保育士の給与はどう違うのかを解説します。私立と公立の保育士の給与、施設別の保育士の給与について以下に記します。

保育士給与

私立の保育士と公立の保育士の役職別平均給与の違い


 

保育士給与

施設別の保育士の給与

7-1. 私立保育園

私立保育園の保育士の平均給与は、月給が30.1万円です。この金額は、公立保育園の給与30.3万円とそれほど大きな差はありません。

しかし、主任や施設長といった役職が上がっていくと、公立保育園の保育士の給料とは差が開きます。主任の場合は、私立保育園の保育士は42.2万円に対し、公立保育園の保育士は56.1万円と約14万円の差があります。

ただ私立保育園の保育士は、実力が認められると昇進のスピードが公立保育園よりも早いというメリットがあります。

7-2. 公立保育園

公立保育園の保育士の給与は、私立保育園保育園に比べて恵まれています。保育士の時はそれほど差はありませんが、先述したように主任、施設長と役職がつくと差が大きくなっていきます。

給与の面では私立保育園よりも恵まれていますが、キャリアアップの面では私立保育園よりも長い時間がかかる傾向があります。その理由は、公立保育園で働く保育士は公務員であり、公務員の人事制度は年功序列色が強いという背景があります。

7-3. 認定こども園

認定こども園とは、幼稚園と保育園を合わせた施設のことです。公立の認定こども園の正規職員は公務員となり、地方公務員と同じ給与となります。一方、私立の認定こども園の場合は運営主体によって収益力に差があるため、保育士の給与にも差があります。

認定保育園で働く保育士の給与は、27.9万円です。年収は、約335.9万円です。まだ認知度も低いですが、今後保育園や幼稚園が認定こども園へ移行されていくにしたがって、待遇改善の可能性は大きいとおもわれます。

7-4. 小規模保育

小規模保育(A型)の保育士の給与は、26.8万円です。また年収は、約322.5万円です。小規模保育の事業主体は市町村などの自治体から民間企業まで幅広く、保育施設も保育者の施設などであまり大きくありません。

また園児の定員も6~19名ですので、運営規模はコンパクトでアットホームです。認可保育園と比較すると給与はやや低いですが、教育ポリシーがユニークな園が多いのも特徴です。

7-5. 企業内保育

企業内保育で働く保育士の給与は、平均23.8万円です。年収は285.8万円です。企業のオフィスの中にある企業内保育は運営補助金の金額が少ないため、そういった背景が給与の低さに影響しているとおもわれます。

ただ大手企業が運営する企業内保育では、月給25万円以上のところもあるようです。また企業内保育の保育士は保育園の運営企業の社員となるため、ボーナスを年に2~3回支給するところもあります。

 

8. 必見!保育士の給料を上げる方法

8-1. 昇進で給与を上げる

「子どもと触れ合うのはヤリガイがあって楽しいけれど、もう少しお給料を上げたい」-そんな思いを抱いている方は、多いと思います。

そんな背景をもとに2017年のキャリアアップ支援策として、一般保育士から主任保育士までの間に、「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」という新しい役職が新設されました。こういった役職が増えたことで、給与は以前よりもアップしやすくなっています。

8-2.資格取得で給与を上げる

保育士の仕事が「預かる仕事」から「育てる仕事」に移行している今、保育士に求められるスキルも以前より高度かつ広範囲になりつつあります。そのため国家資格である「保育士」資格への手当だけでなく、キャリアップにつながる資格取得の奨励・手当支給している保育園も増えてきています。

<保育士がキャリアアップするための資格例>
・チャイルドコーチング
・チャイルドマインダー
・離乳食・幼児食コーディネーター
・認定子育てアドバイザー
・認定病児保育スペシャリスト
・保健児童ソーシャルワーカー

8-3. 転職で給与を上げる

保育士は、待機児童問題に象徴されるように世の中で必要とされる人数に足りていない状況なので、非常に転職しやすい仕事です。保育士不足が叫ばれるこの時代は、常時保育園が求人募集していますので、新しい仕事に困ることはりません。

当然、転職することでキャリアアップと年収アップが可能です。たたそのためには、給与に見合うスキルアップと実績作りが必要不可欠です。

8-4. 公立保育士で給与を上げる

保育士の給与を上げる方法として、公務員である公立保育士になるという方法があります。公立保育士のお給料は公務員と同じですので、定期的な昇給とボーナスが支給され、安定しています。

また先述したように、役職がつくと公立保育士はお給料の上げ幅も大きくなりますので、そういった点でも魅力的です。

 

9. 保育無償化によって給料はどう変わる?

2019年10月よりスタートした「幼児教育・保育無償化」制度。この制度によって、保育士の給与はどのような影響を受けるのでしょうか。

この幼児教育・保育無償化とは、「主に認可保育園に通う3~5歳児クラスの子どもの保育料が無料になる制度」です。超高齢化と人口減少が進む日本において、少子化対策の一環として始まりました。

「無償化」という言葉で、「保育園の収益が減るのでは?」とイメージされる方もいるかも知れませんが、2019年10月導入の消費税率10%への引き上げによる増収分が充当され、保育士の給与が削減されることはありません。

 

10. 【給与比較】幼稚園教諭と保育士

「保育士の給与と幼稚園教諭の給与はどっちがいいの?」と思われる方がいるかも知れませんが、厚生労働省の「平成30年賃金構成異本統計調査 結果の概要」によると、以下になっています。

・幼稚園教諭の全国平均年収/約360万円
・保育士の全国平均年収/ 約356万円

上記の通り、保育士と幼稚園教諭の待遇はほぼ同じです。

 

11. 保育士の給料が安いのに人気の理由

11-1. 保育士は憧れの仕事

保育士は、子どもと触れ合い、日々の成長を実感できる仕事だけあって、女性に非常に人気のある仕事です。学校卒業後に一定の仕事に就いた後、「やっぱり保育士になりたい!」と目指す方も多くいます。

大好きな子どもの成育に関われるだけでなく、一生の仕事として長くできるのも大きな魅力の一つです。結婚・出産のために退職した後、カムバックする保育士が多いのも人気の理由です。

11-2. 将来も安心!安定して働ける

保育士で「働く場所がない」ということはありません。保育士の絶対数が足らない現代においては、保育士の国家資格を取得すれば、「食べるには困らない」安定性を手に入れたといっても過言ではりません。

また年齢に関係なく働けるので、保育士はライフワークとして取り組める職業です。出産・子育てで一度退職しても、復職した時にその経験が活きるのも保育士の仕事の魅力といえるでしょう。

11-3. 子どもの成長が一番のやりがい

仕事の一番のやりがいは、やはり「大好きな子どもの成長に自らが関わり、それを間近で実感できる」ことでしょう。

「先生の名前を呼んでくれた」「今までできなかった着替えができるようになった」「ちゃんと挨拶ができるようになった」といった日々の成長の変化を目の当たりにできるのは、保育士ならではです。そういった日々の感動があることが、保育士という仕事の人気を支えています。

 

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