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公務員保育士とは?私立保育園の保育士との違い、待遇などを解説!

公務員保育士とは、文字通り公立の保育園に勤務する保育士のことです。また保育士であると同時に、その市区町村に採用された地方公務員でもあります。

例えば、公務員という安定した状況で保育士として働きたい方には、魅力的な職業です。働き方としては、自治体が運営している保育園に勤務します。また保育園に限らず、児童養護施設や養護施設になる可能性もあります。

本記事では、公務員保育士について、詳しく解説します。

 

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1. 公務員保育士とは

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A子

C子先生、公務員保育士って知ってる?

聞いたことはありますけど…私立の保育士と何が違うんですか??

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C子

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B子

ここでは公務員保育士の待遇・私立保育園の保育士との違いについて解説しているわよ!C子先生も知識の一つとして読んでね☆

 

公務員保育士は、公立の保育園や保育施設に勤務している保育士です。そして市区町村などの自治体が行っている公務員保育士試験に合格することが、必須になります。実際に働き始めた際には、地方公務員の扱いになります。

ただし公務員保育士試験に合格したからといって、すぐに保育士としての仕事がスタートするわけではありません。まずは採用候補者名簿に登録され、1年以内に保育園からの採用がない場合、再度公務員保育士試験を受験する必要があります。

 

2. 公務員保育士と私立保育士の違い

公務員保育士

2-1. 公立保育園と私立保育園の違い

公立保育園は市区町村、私立保育園は学校法人やNPO団体、企業が運営しています。それぞれの特徴について、以下に記します。

<公立保育園の特徴>
① 市区町村の自治体が運営している
② パートや非常勤以外の保育士は、地方公務員の扱いになる
③ 雇用先は市区町村であり、地方公務員に準じた待遇になる
④ 市区町村内にある他の公立保育園と差が生じないように運営が行われる
⑤ 月案や週案は、各自治体が定めたカリキュラムに沿って行う

<私立保育園の特徴>
① 学校法人やNPO団体、保育事業を展開している民間企業が運営している
② 保育士は運営団体に雇用され、基準や待遇は異なる
③ 保育方針を独自に定めているため、個性的な方針を持つ園もある
④ 月案や週案は、基本的に職員の会議によって決定する

2-2. 公立保育園と私立保育園の働き方の違い

公務員保育士も私立保育園の保育士も、どちらも子どもと向き合うといった仕事内容は同じです。しかし働き方には違いがあります。それぞれの働き方について、まとめてチェックしてみましょう。

<公立保育園の働き方>
① 各自治体が定めたカリキュラムに従って行うため、教育内容は保守的な内容が多い
② 月案や週案のフォーマットが決まっており、良く言えば書きやすく、悪く言えば単調になりやすい
③ 公務員保育士は、約3年前後で異動が発生する
④ 7~8時間のシフト制で、残業は少ない
⑤ 早朝や夕方といった人手が不足する時間帯に臨時職員を雇用するなど、人材確保がされている

<私立保育園の働き方>
① キリスト教や仏教など、それぞれの思想や信条を反映させた取り組みを行う園もある
② 各保育園が独自に定めたカリキュラムに沿って行うため、トレンドや現場の意見が保育に反映されやすい
③ 月案や週案を一から作成することも多く苦労する場面もあるが、スキルアップややりがいを感じることができる
④ 分園がある場合は多少の移動はあるが、あまり活発ではない
⑤ 7~8時間のシフト制で、公立保育園に比べると残業が多い
⑥ 人手が不足しており、中には休憩時間を確保できないなど、保育士の待遇が悪い園もある

2-3. 待遇の違い

2-3-1. 給与・ボーナスについて

公立保育園の場合、平均年齢45歳で平均年収は約555万円です。また月給は約32万円で、ボーナスは約171万円です。一方私立保育園の場合、平均年齢36歳で平均年収は約327万円です。また月給は約22万円で、ボーナスは約59万円です。
(※参照/平成28年賃金構造基本統計調査 結果の概況)

公立保育園と私立保育園の保育士では、平均年齢が10歳ほど離れています。また、年収では約220万円と差が大きく開いているのが特徴です。

実は保育士としての初任給は、公立保育園と私立保育園に差はなく、16万円前後になっています。しかし、公立保育園には定期昇給があり、長く勤務すれば確実に給与が上がって行く制度になっているため、収入に差が生じているようです。

もちろん私立保育園にも昇給制度はあるのですが、必ずしも定期的なものではないでしょう。ただし、実力や役職によっては私立保育園の保育士の方が高収入になることもあります。

2-3-2. 役職者の給与・ボーナス

さきほど公務員保育士と私立保育園の保育士の給与・ボーナスの差についてお話しましたが、役職者もみていきましょう。いずれも()内は平均勤続年数です。

公立保育園の役職者の待遇は、施設長は約654万円(33.6年)、主任保育士は約596万円(28.2年)です。また保育士は約345万円(11.8年)で、保育補助者は約186万円(3.8年)です。

一方私立保育園の役職者の待遇は、施設長は約638万円(24.1年)、主任保育士は約460万円(21.1年)です。また保育士は約306万円(8.5年)で、保育補助者は約220万円(4.1年)です。

こちらも一見公立保育園の方が年収も高いように思えますが、無資格の保育補助者に限っては私立保育園の方が上回っています。また、勤続年数で見てみると全体的に私立保育園の方が短いにも関わらず、そこまで大きな差は見られません。公立保育園の方が待遇が良いように見えても、実力や役職によっては私立保育園の保育士の方が高収入になることもあります。

※参照『幼稚園・保育所等の経営実態調査結果(収支状況等)

2-3-3. 退職金や年金について

公務員保育士または私立保育園の保育士を退職した際には、どうなるのでしょうか。公立保育園の場合、退職金は地方公務員と同額です。年金は、共済年金になります。また私立保育園の場合、退職金は運営母体の規定により、年金は厚生年金・厚生年金基金になります。

共済年金は厚生年金よりも高い金額が支払われるパターンが多いため、公立保育園に勤務していた人の方が、支給される年金額は高くなるでしょう。私立保育園の退職金制度に関しては定められていない園も多いので、働き始める際には確認をしてください。

厚生年金に関しては運営団体が設立をしているのであれば、加入することができます。そうなれば将来的に受け取れる金額は、公的年金よりも多くの年金を受け取ることができるでしょう。

2-4. 福利厚生面

公立保育園の保育士は地方公務員になるため、手厚くなっています。例えば、厚生年金や社会保険、健康保険、労災保険への加入が保証されています。また、地方公務員としての定期昇給制度と賞与も定められています。

一方私立保育園の保育士の待遇は、運営団体によって差があります。ただし、昨今は慢性的な保育士不足もあり、待遇改善がされています。私立保育園でも定期的な報酬の見直しが行われたり、産休や育休の取得も積極的に行われています。

 

3. 公務員保育士の就職の流れ

公務員保育士

公立保育園の保育士は地方公務員になるため、安定しているイメージがあります。また、残業が少なく福利厚生も充実しています。そのため、年々公務員保育士の人気は高まっています。それに対して民営化の流れで公立保育園は減少しており、新しく働き始めるには非常に狭き門になってるのが実態です。

公務員保育士として働くまでの流れを、下記に記します。

<公務員保育士の就職の流れ>
① 各自治体が実施する「職員採用試験」を受ける
② 各保育園が独自に定めたカリキュラムに沿って行うため、トレンドや現場の意見が保育に反映されやすい
③ 月案や週案を一から作成することも多く苦労する場面もあるが、スキルアップややりがいを感じることができる
④ 分園がある場合は多少の移動はあるが、あまり活発ではない
⑤ 7~8時間のシフト制で、公立保育園に比べると残業が多い
⑥ 人手が不足しており、中には休憩時間を確保できないなど、保育士の待遇が悪い園もある

上記のように、採用試験に合格しても、すぐに公務員保育士として働けるわけではありません。また職員採用試験に合格して採用候補者名簿に登録されるのも一年間だけのため、その間に欠員が出ない場合は再度受ける必要があります。例えば一年待機してそのまま配属先決定の通知が来なかったというケースもあるので、注意が必要です。

また自治体によっては、「年齢制限」や「自治体に居住」といった条件があることもあります。

 

4. 公務員保育士の転職について

公務員保育士の転職

保育士の離職率は高いと言われています。平成27年に厚生労働省が発表した「保育士等に関する関係資料」によると、保育士全体の離職率は10.3%になっています。「平成28年雇用動向調査結果の概要」によると、国全体の離職率は15.0%です。比較すると、特別に保育士の離職率が高いといったわけではないようです。

また公立保育園の保育士の離職率が7.1%に対し、私立保育園に勤務する保育士は12.0%と高くなっています。これらの数字から、公立保育園の方が定着率は高い=長く働ける環境だと言えそうです。

離職した保育士はどうしているのでしょうか。離職者3.3万人のうち、2.6万人は業界内での再就職しています。つまり8割は引き続き保育の仕事を続け、2割は異なる業界へ転職しているのが現状です。具体的には保育園で勤務した保育士は、下記のような職場で活躍しています。

<保育士の転職先>
① 病児保育室や院内保育所
② 企業内保育所
③ 一時保育などを行う託児所
④ 施設保育士として児童福祉施設
⑤ 学童保育
⑥ 保育ママ
⑦ ベビーシッターやベビーホテル
⑧ 幼児教室
⑨ 保育園運営会社

※参照『保育士等に関する関係資料
※参照『平成28年雇用動向調査結果の概要

 

5. 公務員保育士の将来性

公務員保育士の将来性

地方公務員である公務員保育士は、私立保育園の保育士よりも将来的にも安定しているように思えるかもしれません。しかし昨今の国の政策により、公務員削減や民営化政策がすすめられており、公立保育園は減少しています。

もし公立保育園がなくなったからといって、公務員保育士が失業するわけではありません。公務員といった立場は守られますが、今まで行ってきた保育士としての業務ではなく、別の職種への転属が求められる可能性があります。

一方の私立保育園の保育士の場合、公設民営化された保育園での活躍が期待されています。今後は、働く環境やお給料が向上していく可能性が高くなりそうです。

 

6. まとめ

公務員保育士と私立保育園の保育士との違いをまとめると、以下になります。

・公務員保育士とは地方公務員であり、公務員保育士試験に合格することが必須
・公立保育園の保育士は、各自治体が定めたカリキュラムに従って保育を行うため、教育内容は保守的な内容が多い
・私立保育園の保育士は、トレンドや現場の意見が保育に反映されやすい
・公立保育園と私立保育園の保育士では、年収では約220万円と差が大きく開いている
・定期昇給がある公立保育園の方が年収は高いが、実力や役職によっては私立保育園の保育士の方が高収入になることもある

公務員保育士は待遇的には魅力的ではありますが、民営化政策がすすめられていることもあり、採用されるのは狭き門になっています。

一方、保育士不足から私立保育園の待遇も良くなっており、今後はますます安定していくことが考えられます。公務員保育士だけでなく、同時に私立保育園の保育士も視野に入れることで、理想の環境で働くことができるでしょう。

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