近年利用者が増加している「退職代行」。保育の現場でも退職代行を利用して退職手続きをする人が増えているようです。「退職の意思表示をしているがなかなか辞めさせてもらえない」「上司が怖くて言いづらいなど辞めたいのに辞められない」という人は退職代行を利用して手続きを行うことも選択肢の一つです。
自分の身を守るためや、キャリアアップをするためにも早めに新しい仕事へ切り替えることも大事です。本記事では、保育士が退職代行を使うときの気を付けることやメリットデメリットついて解説します。
C子 最近よく聞く退職代行って保育士でも使う人っているんですか?
少しずつ浸透して使う人も増えているよね B子
A子 辞め方にもいろいろあるけどきちんと退職手続きをしないとあとから大変なことにならないようにしないとね
目次
1. そもそも退職代行とは?
退職代行とは、従業員が自ら退職の意思を伝えにくい場合に、代行業者が雇用主に代わって退職の手続きを行うサービスです。株式会社東京商工リサーチによる調査では、退職代行の業者から退職手続きの要請を受けた経験が、大企業の18.4%、中小企業の8.3%であることが分かりました。全体では約1割の企業が経験したことがあり、社員の退職代行の利用が広がっています。
1-1. 退職代行の目的
従業員が退職を言い出しにくい職場環境や人間関係、精神的な負担が大きい場合に利用されます。これにより、トラブルを避け、スムーズな退職を実現することが主な目的です。また、法律的な手続きや交渉を代行することで、従業員が不利益を被らないようにすることも重要な役割の一つです。
1-2. 退職代行の利用者
退職代行を利用するのは、以下のようなケースで多くみられます。
- 職場環境が悪い: パワハラや長時間労働などで精神的に疲弊している人。
- 人間関係が難しい: 上司や同僚との関係が悪く、直接退職を伝えにくいと感じる人。
- 交渉に不安がある: 退職時に有給休暇の取得や残業代の請求など、労働条件に関する交渉に不安を感じる人。
- 退職を引き止められる恐れがある: 退職意思を伝えても引き止められたり、圧力をかけられると予想する人。
1-3. サービス内容
退職代行はどのようなサービスを行ってくれるのか、概要をまとめています。
①退職の意思伝達: 依頼者に代わって、退職の意思を会社に伝える。
②各種連絡の代行: 退職日や退職手続きに関する連絡を代行し、会社との直接のやり取りを避ける。
③書類の手続き支援: 退職届や必要な書類の作成・提出をサポート。
④有給消化や残業代の交渉: 依頼者の権利を守るために、未消化の有給休暇の取得や未払い残業代の請求を代行。
⑤法律相談の提供: 労働に関する法律的な問題について、提携弁護士による相談を受けられるサービスを提供する場合もある。
1-4. 退職代行の利用方法
【サービスの選定】
まず、退職代行サービスを提供している業者を調べ、信頼できる業者を選びます。口コミや料金、提供されるサービス内容を確認して比較することが重要です。
【相談・申し込み】
選んだ業者に連絡し、相談を行います。電話やメールなどで相談を受け付けていることが多いです。相談後、正式に依頼する場合は、申し込み手続きを行います。
【必要な情報の提供】
依頼者は業者に、自分の名前や連絡先、会社名、退職理由、退職希望日などの必要な情報を提供します。
【代行手数料の支払い】
サービスを利用するための料金を支払います。支払い方法は、銀行振込やクレジットカード、電子決済などが一般的です。
【業者が退職手続き開始】
代行業者が依頼者に代わって会社に連絡し、退職の意思を伝えます。その後、会社とのやり取りや手続きをすべて代行します。
【退職完了】
退職手続きが完了し、会社から必要な書類(離職票や源泉徴収票など)が届いたら、退職は完了です。退職後も、必要に応じてフォローアップのサービスが提供されることがあります。
この流れを通じて、依頼者は退職をスムーズに進めることができ、精神的な負担を軽減できます。
2. 保育士の退職代行のメリットとは
保育業界でも退職代行の利用が広がっています。上司に辞めたい気持ちを伝えられず日にちばかりが経ち、子どもたちと過ごしていく中で退職より情がでてしまいなかなか辞められず、その結果、鬱など心身ともに病んでしまう人も少なくありません。そうならないためにも、退職代行を使うメリット・デメリットをきちんと理解した上で退職代行を使うことも選択肢に入れましょう。
2-1.退職の意思を園長に伝える必要がない
「上司や園長に退職の意思を直接伝える」という、この第一歩がそもそも踏み出せない人が多いため、退職代行を利用して退職の意思を伝えることができます。
2-2.保育士不足などが理由で引き留められない
働いている身からしても慢性的な保育士不足は感じているかと思います。また、代わりの保育士が見つかるまで辞められない、年度途中でないと子どもたちに悪影響など何かしらの「保育士不足」にかこつけて引き留めるケースがあります。
退職代行では対面で会う必要がないため、引き留めに合わずに退職の意思を伝えることができます。
2-3.有給休暇を使用して退職することができる
大半の一般保育士は有給休暇を取得する間もなく毎日働いている人が多く、退職を機に有給休暇を消費したいと考えている人も多いはず。しかしながら退職意思を伝え、「有給消化して退職したい」とまで言いにくい…といった方には退職代行を利用して確実に消化できます。
3.保育士の退職代行のデメリットとは
退職代行を利用するメリットしかないように感じますが、利用者側としてのデメリットもしっかり理解しておく必要があります。
3-1.費用がかかる
業者によっての平均相場は3万~5万円。業者によってさまざまなプランがあります。安い=クオリティが低い、高い=クオリティが高いということではないので、どこまでやってくれるかをしっかり見極めた上で業者の選定をしましょう。
3-2.同僚や上司との関係性が悪くなることがある
退職代行を利用することで確実に退職することができる反面、同僚や上司に会わずに退職をするため退職者の悪い印象を与えてしまうことがあります。プライベートで会ってしまった時に気まずい場面があるかもしれません。
3-3.近隣の保育園や施設に転職しにくい
退職代行を利用したからということだけではありませんが、同業種、近隣の保育園同士は会合や研修などで関わりを持つことがよくあります。普通に退職した職員の話はあまりすることはありませんが、「退職代行を利用した○○さん」という形で記憶に残りやすい傾向があります。
4. 上手な退職意思を示すには?
退職代行を利用することのメリットとデメリットを理解した上で自身がどのような退職方法を使うか考えましょう。
4-1. 人間関係
「○○先生とうまくいかず」「○○先生がいるので働けない」など否定的な伝え方ではなく、「ここで積み上げたチームワーク性を新たな環境下で自分を高めたい」など新しいところで挑戦をしていきたいという前向きな気持ちを伝えましょう。
4-2. 給与面
すでに転職先が決まっている場合の給与面での退職の場合、同じ地域であれば給与はあまり変わらない傾向にあります。自身のキャリアアップのため新しい環境で挑戦したい旨を伝えるとスムーズです。
4-3. 体調不良
体調不良の場合、回復して戻っておいでと言われることもあります。その辺も予測して「自分の今後を見つめなおして」という形で一旦退職して今後を考えたいという気持ちを伝えましょう。
4-4. 異業種への転職
異業種への転職をする場合には、保育士としての視野だけでなく異業種にも挑戦したい気持ちをしっかりと相手に伝えましょう。
5. まとめ
保育士の退職において必要なことは、退職の意思を伝える時期、退職までの計画、退職後の動きをきちんと順序立ててスムーズに行い、可能な限り自分で退職の意思を伝えることに努めましょう。どんな理由であれ連絡なしの無断退職はNGです。転職した際に転職先より在籍証明書の提出を求められることもありますので円満退職をお勧めします。ただし、心身ともに疲れている状態など自身が動けない場合もあるかと思いますので、退職代行を使うことも視野に入れて進めましょう。