保育士給与は国の施策によって、2024年・2025年と2年連続で約10%以上の増額が実施されています。
これは、保育士の仕事が子どもたちの命と成長を支える重要な役割でありながら、長年にわたり給与水準が低く、離職や人材不足を引き起こしていた背景があるためです。
そこで今回は、2025年度の最新データをもとに、保育士の平均年収や地域ごとの格差、そして給与アップを支える「処遇改善加算」について、わかりやすく解説します。

C子
保育士って、お給料どれくらいもらえるんでしょうか?ちょっと気になります…!
最近は国の施策で待遇が見直されてきてるわ。最新データも交えて詳しく解説していくわね!

A子
目次
1. 都道府県別の保育士給与

1-1. 全国の平均給与とその推移
まずは全国で働く保育士給与の平均がどのように推移しているのかを見てみましょう。
| 年度 | 平均月給(円) | 年間賞与(円) | 平均年収(円) | 前年度比増加率 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 約271,400 | 約712,200 | 約3,969,000 | — |
| 2024年度 | 約300,000 | 約800,000 | 約4,400,000 | 約10.7%増↑ |
| 2025年度 | 約330,000 | 約880,000 | 約4,840,000 | 約10%増↑ |
この2年間での給与引き上げは、「処遇改善加算」や人材確保のための公定価格の見直しが影響しています。
国が保育士確保のために本腰を入れている証拠ね。特に月給のベースアップは生活の安定に直結するから大きな変化よ!

B子
1-2. 都道府県別の年収ランキング(2025年版)
次に、保育士給与の年収を都道府県別に見ていきましょう。地域によって支援制度や生活コストが異なるため、大きな差が見られます。
| 順位 | 都道府県 | 平均年収(円) |
|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 4,980,000 |
| 2位 | 神奈川県 | 4,850,000 |
| 3位 | 愛知県 | 4,700,000 |
| 4位 | 大阪府 | 4,680,000 |
| 5位 | 千葉県 | 4,600,000 |
| 6位 | 埼玉県 | 4,550,000 |
| 7位 | 京都府 | 4,510,000 |
| 8位 | 兵庫県 | 4,480,000 |
| 9位 | 静岡県 | 4,430,000 |
| 10位 | 福岡県 | 4,420,000 |
| … | … | … |
| 45位 | 秋田県 | 3,720,000 |
| 46位 | 宮崎県 | 3,650,000 |
| 47位 | 沖縄県 | 3,600,000 |
都市部では家賃補助や自治体独自の処遇改善がある一方、地方は人件費の確保が難しい自治体もあり、給与水準に差が出ています。
2. 保育士給与は誰が決めている?

保育士給与は、基本的には勤務先である「各保育園」が定めています。園ごとに給与規定があり、雇用契約に基づいて個別に決定されるのが原則です。
ただし、特に「認可保育園」において保育士給与は、国(厚生労働省)が定める“公定価格”という仕組みに影響を受けます。
公定価格とは、保育士の人件費や保育環境にかかる経費を標準化して設定したもので、自治体はこの公定価格に基づいて園に補助金を支給します。園はその補助金の中から人件費や運営費をまかなうため、実質的に給与の枠組みは“国が設計し、園が運用する”構造になっています。
3. 保育士給与アップに欠かせない処遇改善加算とは
処遇改善加算とは、保育士の待遇を引き上げるために国が定めた補助制度で、保育園を通じて保育士へ加算されるものです。
3-1. 加算の種類
- 加算Ⅰ: 主任やリーダーなど役職者への手当
- 加算Ⅱ: 国が定めた「キャリアアップ研修」修了者への加算
- 加算Ⅲ: 園全体への人材確保目的の加算(地域裁量)
加算の対象となる保育士には、年収ベースで50万~80万円の上乗せが起きる場合もあります。

C子
そんなに差が出るんですね!知らなかったです…
しかも加算Ⅱの研修は、今後のキャリアパスにもつながるからおすすめよ!

A子
3-2. 加算の配分の仕組み
- 国が制度の設計と加算上限額を設定
- 自治体が保育園へ補助金を交付
- 保育園が保育士へ加算分を分配(方法は園の裁量)
- 分配実績は自治体へ報告、必要に応じて監査あり
ただし、配分基準や対象者の選定は園ごとに異なるため、「思ったよりもらえなかった」と感じるケースもあります。事前確認が大切です。
3-3. 処遇改善加算は誰が決めている?
処遇改善加算は、金額や対象基準などの制度設計は「国」が行っています。加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲそれぞれに関して、対象者の要件や金額が国の通知で明確に定められています。
しかし、実際に加算を“誰に”“どれだけ”配分するかの裁量は、保育園側にあります。
たとえば、加算Ⅱでは「キャリアアップ研修を修了した保育士」が対象とされますが、園長が“リーダー的な役割”を認めていない場合は対象から外れることもあります。また、複数人が同時に該当する場合、加算額をどう配分するかも園が判断するため、同じ資格を持っていても支給額に差が出る可能性があります。
子ども家庭庁『技能・経験に応じた追加的な処遇改善(処遇改善等加算Ⅱ)に関するFAQ』
このように、制度は全国共通であっても、現場レベルでは運用にばらつきがある点は押さえておきたいポイントです。
4. キャリアアップ研修の内容

加算Ⅱの対象となる「キャリアアップ研修」は、保育士の専門性を高める目的で国が設けた制度です。
研修分野の一例:
- 乳児保育
- 幼児教育
- 障害児保育
- 食育・アレルギー対応
- 保健衛生・安全対策
- マネジメント
- 保護者支援・子育て支援
自治体や園によって受講機会に差があるため、転職時などに確認しておくと安心です。
5. 現場の声と園経営者のリアル
都内の園に転職して家賃補助がついたら、生活に余裕が出て安心しました!

保育士Nさん

保育士Yさん
研修は大変だけど、収入アップになるから前向きに取り組めますね!
処遇改善でボーナスが増えて嬉しいです!

保育士Uさん

S保育園
申請や事務作業は正直大変。でも離職防止には確かに効果があります。
給与が上がったことで実際に応募者も増えました!

Y保育園
6. 保育士給与まとめ
2025年度の保育士給与は、過去数年と比較して明らかに改善が見られます。特に処遇改善加算や地域独自の補助制度などが合わさることで、実質的に給与が大きく推移した園も多くあります。
ただし、地域格差や園ごとの運用形態によって「想像したほど増えていない」との声もあるため、転職施設の情報収集は不可欠です。
保育士ナレッジでは今後も、保育現場の最新情報を正確に、そしてわかりやすくお届けしてまいります。



















